私のデジタル断ちチャレンジ

食卓からスマホを遠ざけただけなのに、私と家族に起きた嬉しい変化

Tags: デジタルデトックス, 家族関係, スマホ依存, 時間管理, 食卓

食事中も手放せなかったスマホ、家族との距離を感じ始めた日々

パートから帰り、慌ただしく夕食の準備を済ませ、家族が食卓に集まる。一日の終わり、やっと一息つける時間のはずなのに、私の視線はいつの間にかスマホに向かっていました。献立を考えるヒントを探したり、友人の投稿をチェックしたり。無意識のうちに画面をスクロールする手が止まらず、夫や子供の話に上の空で相槌を打っていることが増えていました。

ある日、小学3年生の娘が「ママ、今日ね、学校で…」と話しかけてくれた時、私は思わず「うん、それで?」と画面から目を離さずに返事をしてしまいました。すると娘は、少し寂しそうな顔で話を途中でやめてしまったのです。その瞬間、私ははっとしました。このままでは、大切な家族との時間が、スマホに「溶かされて」いってしまう。子供の成長を見逃し、夫との会話も減ってしまうのではないかと、漠然とした不安を感じ始めていたのです。

時間を有効に使いたい、子供との関わりをもっと大切にしたい。そう思いながらも、なかなかスマホを手放せない自分を変えたい。そんな時、「デジタルデトックス」という言葉を目にし、まずは一番気になっていた「食事中のスマホ利用」をやめてみようと決心しました。

小さなルールが大きな一歩に、食卓のデジタルデトックス

忙しい日々の中で、いきなり全てのデジタル利用を制限するのは難しいと感じました。そこで、まずは夕食時に限定して、ある一つのシンプルなルールを設けることにしたのです。

それは、「食卓ではスマホを使わない」というルールです。

具体的には、 * 物理的な距離を置く: 夕食の準備ができたタイミングで、私と夫のスマホをリビングにある専用の「スマホカゴ」に入れることにしました。食卓からは全く見えない位置です。 * 通知のオフ: 食事中は、仕事の連絡や友人からのメッセージなど、全てのアプリの通知が来ないように設定しました。 * 家族への共有: このルールを決める際、家族にも「ご飯の時間は、みんなで今日あったことを話す大切な時間にしたいから」と説明し、理解と協力を求めました。最初は戸惑いを見せていた夫も、私の真剣な眼差しを見て、賛成してくれました。

無理なく続けるため、最初は夕食の時間のみに限定しました。朝食や昼食は、準備や片付けに追われる中で完全に実施するのは難しいと感じたためです。まずは「できること」から始めることが、私にとって継続の鍵となりました。

途中で襲われた「スマホ禁断症状」と家族の反応

食卓からスマホを遠ざけること自体は、それほど難しいことではありませんでした。しかし、カゴに入れたスマホから通知音が鳴らないとわかっていても、食事中にふと「あの連絡が来ていないか」「あの情報を見逃していないか」と、気になってしまう瞬間がありました。無意識に手が伸びそうになり、慌てて引っ込めることも一度や二度ではありません。

特に最初の数日は、まるで「禁断症状」のように、手持ち無沙汰に感じたり、食事が終わるまでの時間が普段より長く感じられたりすることもありました。隣で夫がいつも通りに食事をしている横で、私は心の中で「早く食事が終わらないかな」と焦りを感じることもありました。

また、ルールを始めたばかりの頃、娘がふと「ママ、スマホ見ないの?」と聞いてきたことがありました。普段私がどれだけスマホに目を向けていたかを、子供は敏感に感じ取っていたのだと改めて気づかされました。その言葉に、胸が締め付けられる思いがしましたが、同時に「このチャレンジは間違っていない」と確信することもできました。

食卓のデジタルデトックスがもたらした、嬉しい変化の数々

この食卓でのデジタルデトックスを始めてから、たった数週間で、私の生活と家族の関係に驚くほどの変化が現れ始めました。

まず、家族との会話が劇的に増えました。特に娘は、食事中に学校での出来事や友達との遊びについて、目を輝かせながら話してくれるようになりました。以前なら私がスマホを見ていたせいで、話すきっかけを失っていたのかもしれません。夫も、仕事の愚痴や嬉しい出来事をゆっくりと話してくれるようになり、夫婦の会話も以前より深まったように感じます。食卓は、ただ食事をするだけの場所ではなく、一日のできごとを共有し、お互いをねぎらう温かい時間へと変わっていったのです。

次に、食事を「味わう」ことができるようになりました。スマホを見ながら食事をしていた頃は、何を食べているのかよくわからないまま、あっという間に食べ終わってしまうことがしばしばでした。しかし、スマホを手放してからは、目の前の料理の香りや味、食感を五感で感じられるようになり、食事がより豊かな体験となりました。自然と咀嚼回数も増え、満腹感も得やすくなったと感じています。

そして、私自身の精神的なゆとりも生まれました。食事中、スマホに気を取られることがなくなったことで、頭の中がすっきりと整理され、家族の表情や声に集中できるようになりました。食事が終わってから「今日の夕食もあっという間に終わってしまった」という後悔がなくなり、「今日も家族と良い時間を過ごせた」という満足感が得られるようになりました。以前は食後にすぐにスマホを手に取っていましたが、今では食後に子供と今日あった出来事についてゆっくり話したり、夫婦で明日の予定を確認したりする時間が増えました。

正直なところ、劇的にスマホの使用時間が減ったわけではないかもしれません。しかし、一日のうちで最も大切な家族との時間、約1時間の夕食時を「完全にデジタルフリー」にできたことは、私にとって大きな成功でした。これにより、家族との絆が深まり、日々の生活に心地よい充実感がもたらされたことを実感しています。

小さな一歩が、きっと豊かな未来につながる

私の「食卓デジタルデトックス」は、ごく小さな一歩でしたが、予想以上に大きな喜びと変化を私と家族にもたらしてくれました。忙しい日々の中で、スマホを見る時間が多いことに悩んでいる方は、まずは「ここだけはデジタルフリーにしたい」という場所や時間を見つけてみませんか。

完璧を目指す必要はありません。私のように、夕食時だけ、あるいは子供と遊ぶ〇〇分だけ、といった具合に、ご自身の生活に無理なく取り入れられる範囲から始めてみることをお勧めします。最初は少し不便に感じたり、物足りなさを覚えたりするかもしれません。しかし、その先に待っているのは、きっと豊かな時間と、家族との温かいコミュニケーションです。

この体験を通して、私はデジタルツールと上手に付き合いながら、本当に大切なものに目を向けることの大切さを学びました。これからも、この小さな習慣を大切に、家族との穏やかな時間を育んでいきたいと思っています。