寝る前のスマホを手放して、家族との会話が増えた私の体験談
導入:気がつけばスマホが手放せない夜に
家事や育児、パートの仕事と、毎日があっという間に過ぎていく中で、私にとって唯一の「自分の時間」は、子供たちが寝静まった後の夜でした。一日の疲れを癒すように、ソファに座り、無意識にスマートフォンを手に取ります。SNSを眺め、ニュースをチェックし、ネットショッピングサイトを巡るうちに、あっという間に時間が溶けていきました。
気がつけば深夜。夫が話しかけてきても、返事がおろそかになりがちで、夫婦の会話もどこかギクシャクしていました。翌朝は寝不足で体が重く、子供たちにもついイライラしてしまうことも。このままではいけない、時間はもっと有効に使いたい、そして何より、家族との関係を大切にしたいという思いが募っていきました。
そんな時、友人が「デジタルデトックスを始めたら生活が変わった」と話しているのを聞き、私も「もしかしたら、この状況を変えられるかもしれない」と、小さな希望を見つけました。
実践内容:夜21時以降はスマホを寝室に持ち込まないルール
いきなり全てのデジタル機器から離れるのは無理だと感じていました。そこで、私にでも無理なく続けられそうな、シンプルなルールを一つだけ設けることにしました。
それは、「夜21時以降は、スマートフォンを寝室に持ち込まない」というものです。
子供たちが寝る時間に合わせて、21時になったらスマホをリビングの充電場所に置き、そのまま寝室へ向かうことにしました。通知音も最小限に設定し、リビングに置かれている間は、緊急時以外は触らないと決めました。
最初は「たったこれだけで変わるのかな」と半信半疑でしたが、忙しい毎日の中で、これなら「できる」と思えたのです。パートから帰宅し、夕食の準備、子供の世話、お風呂、寝かしつけと、目が回るような日々の中で、このシンプルなルールは「負担にならない」という点で最適でした。
実践中の葛藤と小さな失敗
もちろん、全てが順調だったわけではありません。最初の数日は、まるで自分の体の一部を忘れてきたかのように、手持ち無沙汰で落ち着かない気持ちになりました。寝室に入ってから、「あ、スマホがない」と無意識に手を伸ばしてしまうことも何度かありました。
一度は、夫がリビングでスマホを触っているのを見て、私もつい「ちょっとだけ」と手に取りそうになった日もあります。しかし、そのたびに「家族との時間を取り戻すため」という最初の目的を思い出し、ぐっと我慢しました。完璧を目指すのではなく、「今日はルールを守れた」という小さな成功体験を積み重ねることを意識しました。挫折しそうになった時も、「昨日はできなかったけど、今日はできる」と前向きに捉えるようにしました。
変化・効果:深まった絆と広がる時間
このシンプルなルールを続けていくうちに、驚くほどの変化が訪れました。
まず、夫婦の会話が劇的に増えました。
以前は、私がスマホを眺めている間に夫も別の部屋でスマホを触る、ということがほとんどでした。しかし、私がスマホを手放したことで、寝る前のリビングや寝室で、自然と今日あった出来事や子供たちの話、休日の計画など、たわいもない会話が増えたのです。夫も私の変化に気づき、以前よりも積極的に話しかけてくれるようになりました。寝る前の数十分の会話が、夫婦の絆を深めてくれたように感じています。
次に、睡眠の質が向上しました。
夜遅くまでブルーライトを浴びることがなくなり、自然と寝つきが良くなりました。朝は目覚まし時計よりも早く、すっきりと目が覚める日が増えました。睡眠不足による日中のイライラが減り、心にもゆとりが持てるようになったのは、嬉しい変化です。その結果、朝の家事も効率よくこなせるようになり、出かける前のバタバタも軽減されました。
さらに、「自分時間」が充実しました。
スマホを触っていた約1時間半〜2時間の時間がなくなり、その時間を読書や、簡単なストレッチ、翌日の準備に充てられるようになりました。時にはただ静かに考え事をしたり、心を落ち着かせる時間を持ったりすることもあります。以前はスマホの中にあった世界の代わりに、目の前の現実や自分自身の内面に目を向ける時間が増えたのです。
家族と直接接する時間が増えたわけではありませんが、私自身に心のゆとりができたことで、子供たちに対しても穏やかに接することができるようになりました。これは、デジタルデトックスがもたらした、思いがけない副産物だったと感じています。
まとめ・学び:小さな一歩が大きな変化に
「夜21時以降はスマホを寝室に持ち込まない」という小さな一歩から始めたデジタルデトックスは、私と家族の生活に大きな変化をもたらしてくれました。
今回の体験から学んだのは、「完璧を目指さなくても良い」ということです。無理なくできる範囲で、まずは一つのルールを決めて実践すること。そして、できなかった日があっても自分を責めず、また明日から頑張ろうと気持ちを切り替えること。そうすることで、続けること自体が喜びになり、やがて確かな変化に繋がるのだと実感しました。
もしあなたが、私と同じようにスマートフォンの使いすぎに悩んでいて、家族との時間や自分の心のゆとりを大切にしたいと感じているなら、ぜひ試してみてください。忙しい毎日の中でも、まずは「寝る前の数十分」からでも大丈夫です。あなたの生活にも、きっと穏やかで豊かな時間が訪れるはずです。